大腸がん

大腸がん

 当科における大腸がんの診療はおおむね大腸癌治療ガイドライン(大腸癌研究会編、2010年度版)に準拠しています。

①内視鏡治療

 消化器肝臓内科と連携を取りながら行っております。術前診断がM,SMにとどまる場合を適応としております。病理診断で追加腸切除の適応がある場合は、追加腸切除を行っております。

②結腸(直腸状部含む)がんに対する手術治療

 術前診断で内視鏡的切除の適応がない早期がん症例に対しては,積極的に単孔式腹腔鏡手術を導入しております。本術式は,通常の腹腔鏡手術で必要となる5-6cmの腹部の切開を置くことなく,臍縁3/4周の切開のみで行う手術です。すでに30例以上に行っており,その安全性、治療成績、整容性を国内外に報告してきました。進行がん症例に対しては、緊急手術、腸閉塞症例、腫瘍径7cm以上である症例を除いて,腹腔鏡補助下手術または小切開手術を行っております。小切開手術とは,6-7cmの腹部小切開をおき,従来の開腹術と同様の手術を行っております。この小切開手術は結腸癌には大変適した方法で,腹腔鏡手術に勝るとも劣らない成績を国内外に報告してきました。

③直腸がんに対する手術治療

 直腸癌に対しては,原則開腹手術を行っております。近年肛門に近い下部直腸がんに対しては,永久的な人工肛門を回避する超低位前方切除術(内括約筋切除を伴う:ISR)も積極的に行っております。また,術後の排尿・性機能障害(男性の場合,勃起・射精障害)が起きることがあります。術前の画像診断を詳細に行い,可能であればこれらに関連する神経を十分残す手術(全自律神経温存術)を心がけて行っています。

④術後補助化学療法

 術後補助化学療法は,結腸癌の場合Stage III症例、Stage II high risk症対して行っております。現在の標準療法であります,FOLFOX療法、XELOX療法,Capecitabin療法、UFT/LV療法について,その有用性,有害事象について説明したのち,原則6ヶ月行っております。直腸癌については,Stage III,Stage II症例に対して原則UFT/LV療法を,原則6ヶ月行っております。経口抗がん剤を用いる治療に対しては,免疫賦活剤であるクレスチンも併用しております。

⑤Stage IV、再発に対する治療

 手術可能な時期であれば,肝臓や肺へ転移していても,外科療法により完全に治癒が望める場合は,積極的に肝切除、肺切除(呼吸器外科に手術を依頼)を行っております。切除不能な症例に対しては,わが国で2005年春保険適応となったオキサリプラチンの登場の後,いわゆる世界の標準治療を患者さんに提供できるようになりました。ただし、副作用、医療費、通院・入院などの問題もあり,個々の患者さんにこれらの事柄について十分な説明をさせて頂き、治療方針を決定しています。当科ではFOLFOX、XELOX、FOLFIRI,さらに分子標的薬であるBevacizumab,Cetuximab、Panitumumabを含む治療を200名以上の患者に行い,その治療成績を国内外に報告してきました。治療導入時、薬剤の変更時は原則入院で行っておりますが,2回目以降の治療は、外来化学療法室を利用して通院で行っております。 入院での治療をご希望される患者様につきましては,当科でのレジメン・投与量に基づき,近隣あるいは紹介元の医療機関での入院治療と当科での効果判定・治療方針確認を行っております。